──を ──は、いけない

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 しかし、通信手段を取り上げて鍵のかかった部屋に監禁するならまだしも、ここは屋外だしスマホもある。これが映画なら五分で終わりだな。 「気づいたら知らないビルの屋上にいました」  そう警察に電話するって手もあるが、俺が不法侵入で捕まっちまう可能性もある。まずは様子見といきますか。  スマホから、LINEを起動した。   「おつかれ。やべー、飲みすぎたわ。目が覚めたら屋上だったんだけど」    あくまでイタズラに気づいていないフリをして、グループLINEにメッセージを送信した。   「飲み杉? どこの屋上? それって不法侵入だよ」  裕二から即レス。しらじらしいな、どうせどこからか見てんだろ。『杉』も誤字だし。 「どこかはわからねえ。今目が覚めた。通報される前に撤退するわ」 「迎えに行こうか?」 「いい。ここがどこか分からねえし」 「そっか、じゃあ気を付けて」  ちっ。てめえらがここに俺を置いて行ったんだろ。内心毒づきながら「はいよ」と返事をしておいた。
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