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「正美さんのおかげで、無事出ることができたよ」
自分一人だったら、まんまと罪を着させらるか、奴らに捕まって拉致されるか、最悪、殺されていたか──
「基本は観察眼ね。違和感があったら見逃さず、直感を信じることよ」
「確かにな、恐れ入ったよ」
「あとは、先入観を持たないこと」
「へいへい」
説教臭くなってきたな。と内心毒づきながらも、引っかかるものを感じた。
『先入観を 持ってはいけない』
疲れてんのかな。
頭を振って、考えを切り替える。
しかし俺は、すでにこの時、先入観をもっていたばかりに──大きな見落としをしていた。
だけど、それが分かった頃にはもう、事態は、取り返しのつかないことになっていた。
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