──を 持ってはならない

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 中に入れということか? 「えーっと、お邪魔します」    アパートに踏み込む。    話があると呼び出された以上、危険はないと信じたい。  誰が待っているのか。サークルメンバーか、全く面識のない奴か。  玄関から入って、すぐ左に風呂、トイレの扉。それらを横目に抜けると、キッチンとリビングが展開された。  明かりはついておらずカーテンは閉め切られていたが、朝の時間帯のおかげで、室内の暗さはなかった。  ここには誰もいない。    造りからみて、リビングの向こうに寝室がある感じか。  ミステリー好きとしては、こういう間取りを見て、あれこれ想像を働かせてしまう。  内装や家具は、比較的シンプルなものが多く、これだけでは、住んでいる人物像は浮かんでこない。   「すいませーん」    念のため声をかけるが、やはり、返事はない。  ……嫌な予感がする。  一度玄関に戻りかけたが、それじゃここまで来た意味がない。    シャワーとか、トイレってわけじゃないよな。  などと思いつつ、寝室とおぼしき扉の前に立った。
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