第1章 吟遊詩人の一座

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男子用の天幕にそっと入って行くと、天幕で横になっていたスセンが起き出して場所を譲ろうとするのを、カラトは慌てて止めた。 カラトは常々思っていたが、普段からスセンの睡眠時間は短過ぎる。 2人で旅をするようになってから、夜番はスセンが先で、夜半に交代する予定が、いつも彼は大分遅れてカラトを起こすのだ。 それで睡眠が足りている筈がないと何度か言ってみたことがあるのだが、人はそれぞれ必要睡眠時間が違うのだと言って譲らなかった。 ただの弟子でしかないカラトには、それ以上何も言い返せなかった。 こうして交代要員が沢山いる旅ならば、スセンもゆっくり睡眠が取れる筈だ。 カラトはスセンの隣に横になって仮眠の体勢に入る。 一緒に夜番をしていたソダルもリトラに声を掛けてから天幕に入ってきた。 暫くうとうとしていたカラトは、途中で結局スセンが起き出して天幕を出て行ったのに気付いた。 それから、また暫くしてからソダルも天幕を出て行ったようだった。
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