パリスとナミ

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パリスとナミ

「リィー様がネプチューンに体裁をくわえられた。」 ベッドの上で身をおこした女性がつぶやく。 「保護して貰った身だが、ネオス王のやり方は強引すぎる。いずれは不満が爆発するだろうな。」 窓枠に腰かけた男性が答える。 彼の名前はパリス、元はネプチューン王国の大臣だった男、女性は妻のナミだ。 二人は治癒のために王宮の一角にある屋敷にいる。 「『風の民』や『アース』の人々は無事かしら?」 「アースは心配ない。『母に抱かれる月』だったからミィスリル内にあったからな。魔力を持たぬ者の大半はシティーと共に......」 「ひどい、ネオス王はネプチューンの民のことを見捨てたのね 。移民を保護といっても魔術者ばかりでしょ?」 「移民の事は俺もわからないけどおそらく。」 会話は途切れる。 パリスはシガーに火をつける。 「この香りももう嗅げない。オレンジフラワーも星と一緒になくなってしまった......。パリス、私はユン達を探しに行く、カルメンさんは好きだけど王は嫌い。」 これからナミのように王のやりっかたに怒りを覚えるものが現れおそらく反乱がおこるだろう。 憎しみや恨みを抱く者の心を魔女は利用する。 三つの珠のうちの一つは地球で使われたが二つは魔女の手に渡ったままだ。 ヨーキーが居ない今、反乱を押さえられるのはパリスだけだろう。 ネオス王が自分でまいた種だと思うが、悪魔の復活はウニバルゾの問題だ。 「俺は少し様子をみる。お前はマーシャンにセナと一緒にいてほしい。魔女がうろついている一人で外の空間を移動するのは危険だ。」 やわらかな髪にふれる 誰かを失うこと、戦いが始まれば避けれない......失いたくない 『娘を不幸にするなよ。ほんとうはお前にこちらに来てもらいたいのが本音なんだからな。』 ナミの父親の言葉を思い出す。 連れ戻したのは間違えだったのだろうか? 地球に置いてくるべきだったのだろうか? ナミはそれを望まないだろう また眠りについたナミの黒髪を撫でながらパリスは軽く首をふった。
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