知ってらぁい!

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知ってらぁい!

 階下で玄関を開ける音がする。 「おばさんこんばんはー!」  入ってきた奴が誰だかすぐわかる。 けれど今日の俺はオペレーション10X912(ジュッカイクイズ)発動だ。 学校での屈辱今晴らしてやる!。  どたどたと階段を駆け上がる音が近付いてくる。いい加減その歳になったら女らしさを身につけろ。 そう言ってやりたい所だが俺はオペレーション10X912でコテンパンになるあいつを考えて今回は見逃してやろう。  勢いよく引き戸が開く。 「いるー?!」  やってきたな?飛んで火にいるマツモムシとはお前の事だ! 「用って何よ。」 「学校では完敗したが今回はそうはいかんぞ!再び勝負だ!」  相手を指差しながら言った俺の言葉に顎を上げて不敵な笑みを浮かべ、こいつは腕を組んだ。  今日、昔の遊びとして10回クイズなるものが学校で披露されたのだ。 俺達は物珍しがってそれに挑戦し、俺は事もあろうにこいつに10連敗をきしたのだ・・・。  みりんと10回言わされた後の『鼻の長い動物は?』と言う質問に思い切り『みりん!』と答えてしまったり、ピザと10回言わされた後の『ここは?』と肘を指差されながらの質問に事もあろうに『教室』と答えてしまった…。  だが俺はクラスで一番引っ掛からなかった奴から秘策を得てきたのだ。負けたままで夜をこさせてたまるか! 「私に勝てると思っているの?一度も正解できなかった奴が。」  くう!勝ち誇ってやがる! 「うるさいっ勝負だ!」
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