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scene2*「昼寝」
授業中に、こっくり、こっくりと、頭が振り子のように。
ちょっといとおしくなる右斜め前の男子。
【2:昼寝 】
お昼を食べてすぐの授業。
晴れていて暖かい日は、睡魔に負けていく人が続出。
瞼がだんだん重くなり、こっくりこっくりと、ゆっくりまどろんでいく。
この時間はどの先生もお手上げなのか、なぁんにも言わない。怒る先生も当たり前にいるけれども。
そんな私も睡魔に負けてしまうという点では例外じゃないのだけれど、ひと眠りする前にひと仕事があるのです。
ひと仕事って言っても、誰に頼まれたじゃなくって、自分がそうしたいだけ。
とろん、とした目で右斜め前を盗み見ると、案の定、目を閉じて口は半開きっぽく、なんとも間抜けにこっくりと頭が揺れている。
私はそんなコガハラを見て「可愛いなぁ~」なんて頬を緩ませる。
コガハラはいつもやんちゃで、クラスじゃ馬鹿キャラで子供なのだ。
そんな奴がとたんに静かになって、すやすや寝ちゃうのが可愛くて、それを見た私はいつも(こんな男の子生んだらほっとけないだろうなぁ)って思ってしまうのだ。
うとうとしてるコガハラのこと、好きになったのって一体いつだっけ。
席が近いから話すようになって最初は話が良く合う奴だなぁと思ってたんだけど、昼寝してたときに斜め後ろから眺めていて、気づいたところが結構あって……。
睫は意外と多くて長かったり、首の真後ろにほくろがあったり。
人間観察の面白さに味をしめた私は、普段の時も意識して見るようになった。
そうしたら、わりと綺麗な手のかたちだとか、背も結構高いんだなとか、色んなコガハラを発見するたびにちょっとドキドキするようになってしまった。
コガハラの頭はゆっくりと、振り子のように動いている。
私は突っ伏してまたそれを見続ける。
こんなのストーカーみたいかもしれないけれど、人に知られる必要もないし私の中だけで楽しめばいい話なのだ。
眠りこけてるコガハラを眺めてる瞬間が一番しあわせで、つられて眠たくなってくる。この時間がずっと続いたらいいのにな。
瞼がだんだん重くなってゆく。
一瞬、コガハラのサラサラな髪が頭に浮かんで、意識がぐん、と落ちてゆくのを感じた。
( 一緒に勉強する口実にもなるのです。 )
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