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「世界には三大珍味と呼ばれる食べ物があるじゃん。キャビアと、トリュフと、何だっけ…?」
君は右手の親指と人差し指を折り曲げながら僕に聞いた。
「フォアグラでしょ?」
「そう!それ!」
君はスッキリした顔をしながら、右手の中指も折り曲げた。
「食べたことないけど美味しいものってたくさんあるじゃん。そういうものとか一緒に食べたいよね」
君は笑顔で僕を見つめた。僕は正直、君となら何を食べても美味しいと思うし、君が作る手料理ならなんでも美味しいと思う。何を食べるかってよりかは誰と食べるかだ。その誰かが君じゃないなら、味なんてしない。
「エスカルゴとか食べてみたいかもね」
僕は人差し指を上に向けてそう言った。
「エスカルゴってなに?」
君は聞いた。君は無知だなぁ。
「カタツムリ」
「えー?それは食べたくない」
「なんでだよ!」
僕らはまた笑った。たくさん笑った。
美味しいものをたくさん食べることよりも、君とたくさん笑っていたい。その方が幸せだよ。
ある晴れた日の昼下がり、僕と君は部屋で1億円の使い道について話していた。
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