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どれが一番?
「今までのアイデアでさ、どれが一番よかった?」
君は聞いた。
「うーん、家かなぁ」
僕は少し考えて答えた。
「そっかぁ…。私はねぇ、全部かなぁ」
君は子供みたいに笑った。その笑顔は今までのアイデア全てに勝っていた。
「じゃあさ、1億円全部を1つのものに使うんじゃなくて、ちょっとずつ使えばいいんじゃない?そしたら全部出来るよ」
僕は提案した。
「あ、確かに!あったま良いー!」
君に褒められた。職場の上司に褒められるより1億倍嬉しかった。
「じゃあそれぞれに2500万円ずつ使えるね!2500万円で旅行して、2500万円で挙式して、2500万円で家を建てて、2500万円で美味しいものたくさん食べよう!決まりね!」
君は小学生みたいな顔で嬉しそうに笑っていた。
僕と君はそんな可愛らしい妄想をしながら、同じ時間を過ごした。
夕方になり、座っていた君は突然ゆっくりと立ち上がった。
「私、そろそろ買い物に行ってくるね」
君はそう言い残して部屋を出ていった。
君はまた帰ってくる。だから僕は黙って手を振って見送った。
ある晴れた日の夕方、君は買い物に出かけた。
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