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僕は待った。ひたすら待っていた。君は帰ってこなかった。もう君が出かけてから2時間。買い物にしては長い気がする。
僕は我慢出来なくて電話をかけた。
プルルルー…
ガチャッ
君は意外にも1コール目で出た。
「もしもーし」
僕はのんびりした口調で声をかけた。
「もしもし!」
電話の相手は、君じゃなかった。誰だこいつ。
「彼氏さんですか!?彼女さんが病院に運ばれました。体は傷だらけ、頭を強く打って出血が多い状況です。今すぐ都立病院にきてください。命の無事がまだ確認できていない状況です…。」
「は?」
電話の声はそう言った。僕は急にそんなこと言われて、言葉が出てこなかった。というか、信じられなかった。
「携帯電話のロックが解除できず、知り合いの方々へどう連絡をしていいのか分からなかったんです。あなたからお電話をいただけて、助かりました。」
僕は受け入れられなかった。信じてなどいなかった。
だってさっきまで一緒にいたじゃないか。一緒に笑ってたじゃないか。またすぐに帰ってきて、1億円の話の続きをするんだ。嘘だ、嘘だ、嘘だ!やめてくれ。僕から彼女を奪わないでくれ。なぁ、お願いだからさ。
とりあえず僕は急いでタクシーを呼んだ。
「どちらまで?」
「至急、都立病院まで!飛ばしてください!」
僕は焦っていた。
何となくなんだけどさ、すごく嫌な予感がしたんだ。
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