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「じゃあさ、アジアの国は?ほら、香港とか、100万ドルの夜景で有名じゃん!」
君は雑誌のアジアの特集ページを見せながらそう言った。
「あー、確かに綺麗かも」
正直君の方が綺麗だ。そんな写真のちんけな夜景なんかよりも何倍も綺麗だ。君に100万ドル支払ってもいいくらいだ。
「でしょでしょ!物価も日本より全然安いしさ、贅沢してもお釣りがくるよ!」
君はとても嬉しそうだった。君の笑顔は1億円じゃ足りない。
「でもそんなに休み取れるかな」
僕は冷静だった。仕事で忙しい僕は、君と旅行に行ったことはなかった。
「取ってよー!一緒に旅行に行こうよー!」
君は笑って僕に抱きついた。旅行なんかに行けなくても、僕はよかった。この瞬間が何よりも幸せだから。
「分かった。1億円あったら、一緒に旅行に行こうか」
ある晴れた日の昼下がり、僕と君は部屋で1億円の使い道について話していた。
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