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結婚式を挙げようか
「あー、待って。でも私、結婚式もしたい」
君は僕を抱きしめていた腕をほどいて言った。
「え、つまりプロポーズしろってこと?」
僕は思わず聞いてしまった。
「いや、結婚式ってお金めっちゃかかるじゃん。1億あれば、豪華な挙式出来るかなって」
君は何かに憧れているような瞳をしていた。君と結婚はしたい。式も挙げたい。
「じゃあ、式を挙げるとしたら誰を呼ぶ?」
僕は君に聞いた。君は嬉々とした表情をしていた。
「まず親戚全員でしょ?あとは友達と、中学の仲良かった人全員と、高校のクラスメイト全員と、大学の友達と、職場の先輩と、いつも私の髪を切ってくれる中村さんと、地元のスーパーの田中さんと、元カレ全員!」
君は指折りしながら笑ってそう言った。
「そんなに呼べるかな。ってか元カレ呼ぶなよ!」
僕は笑って君を優しく叩いた。
君は笑った。僕も笑った。今この瞬間が結婚式ならいいのに。誰にも見られなくていい。羨望の視線なんていらない。君といれれば、それだけでいい。
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