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「じゃあまずは結婚指輪買わないとな」
僕は笑いながらそう言った。
「1億あったら良いやつ買えるかな」
君は期待するような顔をしていた。
「相場が分かんないからなんとも言えないや」
僕はその顔を見てそう言った。
「じゃあさ、どんな式にしたい?」
君は指輪よりも美しい目で聞いた。
「うーん、1億あれば豪華な式できると思うけど、正直君とならどんな式でも嬉しいよ。だから、ずっと一緒にいてほしい」
僕はそう言った。少し照れくさかった。恥ずかしくて目は合わせられなかった。
「え、ねぇ。もしかして今のってプロポーズですか?ねぇねぇ?」
君はイタズラな顔で茶化してきた。僕はそんなつもりじゃなく思ったことを言っただけなのに、今さら余計に恥ずかしくなってきた。
「え、いや、なんていうか、その…ねぇ?」
僕は誤魔化そうとしてためらって、うまく言葉が出てこなかった。
「ねぇねぇねぇ?ねぇってばー!」
君は人差し指で僕を突っつきながら笑っていた。僕も可笑しくて笑っていた。
ある晴れた日の昼下がり、僕と君は部屋で1億円の使い道について話していた。
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