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仕事辞めようか
「ねぇ、1億円あったら、なにに使う?」
君は突然そんなことを聞いてきた。
「何で急にそんなこと聞くのさ」
僕は笑って答えた。
「だってあなたいつも仕事で忙しそうだし、そういうこと考えるだけでも楽しいんだよ」
君は楽しそうに言った。僕は少し考えた。でも、何も思い付かなかった。
「そうだなぁ…。考えたこともなかったよ」
僕はそう言った。
「お金があれば幸せだよ。幸せはお金で買えないなんて言うけどさ、あるに越したことないじゃん。財布の余裕は心の余裕だよ」
君は僕のことを見ていた。とても純粋な、ラムネのビー玉のような綺麗な瞳だ。僕も君の目を見た。
「じゃあ今は幸せじゃないの?」
君ははっとした顔をした。何かに気付いたような、そんな顔だった。
「確かに、今私幸せじゃん」
君は笑った。それを見て僕も笑った。二人でケタケタ笑っていた。
そうだ。この瞬間が何よりも一番幸せじゃないか。1億円なんていらない。君がいれば、僕は幸せだ。
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