第0章 無神論者のまえがき

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第0章 無神論者のまえがき

 無神論者のまえがき    いつも何かに追われ、自分に迷い、それが本当に良いとも正しいともわからぬままゴールを追い求め、走り続ける人がいる。      たとえ何かをようやく手にしても本当の幸せや充足感の後には必ずいやましに、また何かに追われ、自分に迷い、ある人は身も心もボロボロになりながら、また何かを求める無常の河へ。      アキレスとリクガメの話はご存知でしょう。永遠のパラドックス。 うろ覚えの方には復習。  古代ギリシャ時代のお話。    アキレスという青年は、200メートルとしましょう、リクガメと徒競争をすることになりました。  当然リクガメは遅いので100m先からのスタートというハンディを与えられました。  アキレスはそれでも余裕な表情で、いざスタートとなりました。ところがどうでしょう。      アキレスが100m地点まで行くとリクガメはすでに10メートル先を進んでいる。焦ったアキレスは10メートル進むとリクガメはやっぱり1メートル先を進んでいる。アキレスが1m進むと、またリクガメは10㎝先を歩いている・・・。つまり永遠に追いつけないのです。            答えは簡単ですね。    2人の速度を計算したってアキレスが勝つ。    つまりは時間の問題です。    誰か何者かがこの競争の時間を止めてアキレスがリクガメに追いつくところでリクガメを常に前に進めておく。この所作が必要になるわけです。        みなさんも人生というレースで、リクガメのような目標を、時間を切り取って前に進めてはいませんか?  その所作を行っているのはあなた自身ですか?  会社ですか?  家族ですか?  いえ、どれも良い悪いなんて言ってはいません。      僕がむしろ気になっているのは追い越してしまってからのアキレスの行方です。        みなさんだったらまたリクガメのような目標を前に据え、走り続けますか? 目標や試練を乗り越え成長できたら素敵ですよね。    しかし試練は時に残忍、薄情で、あなたを悪魔のようにしてしまう。神なるものがこの世には存在しないのか、と恨みたくなるほどに。          これからある男の半生について100ページちょっとでお話したいと思います。      ああ、頁を閉じるなかれ!    人生の悲哀に同情を求める愚痴話をお伝えするわけでもなく、かといって、みなさんを啓発するようなサクセスストーリーでもないのですが、僕、庄司涼太朗という男が、夢を追って走った結果、待ち受けている「悪魔の世界」へと皆さんをご案内するエンターテインメントです。      ほんの最初の場面は辟易とするような男と思われるでしょうが、どうか勘忍して、見てやってください。  世の中にはそういう人もいるのだと、軽蔑でもして下さい。    それでは、神なき悪魔の世界の最終章まで、この男をほくそ笑みながらご堪能あれ。
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