郁子の過去

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 忍にとってはそれ以上詮索するすべがなかった。  誰も小坂郁子の事を知らない、本人も話せない。  忍が小坂郁子の以前の生活を詮索するのを諦めてから 数か月後、  施設に2人の男が郁子を引き取りに来た。  一人は40~50代、もう一人は30前後の 屈強そうな男だった。  年配の男が亡くなった夫の部下で  無き夫のために郁子の労をねぎらうと申し出た。 「少しの間ですから・・」  丁寧に説明して郁子を連れて行った。  郁子は表情も変えず連れて行かれた。
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