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ラベルの張替えは、2人でやると存外時間はかからなかった。後はこの本たちを分類して、本棚に戻していくだけだ。
「じゃあ本を仕分けして、本棚に戻していこう。」
「はーい。私はその時に、ブールフィンチ王国記を探して見るよ。…君も一緒に探してくれる?」
「…そんな本はないよ。」
俺はとうとうそっけない態度を取ってしまう。だが葉月はそれにはお構い無しで、ニコニコと鼻歌交じりに本を分類していく。
俺はどうしようかと、考える。このイライラをどうにかして払いたい。
「君は、進路のことは考えてる?」
葉月が、唐突に聞いてくる。
「俺は、T大に行こうと考えてる。…模試の判定はBだけど、まだ1年あるから、なんとかなるはず。」
「T大!すごいね、頭良いんだ!」
葉月はさして驚きはしてないように見えるが大げさに反応しているように見える。
「…どうせ、勉強だけしか取り柄がないからね。今日だって、早く家に帰って勉強がしたかったんだけどな。」
「勉強して、その後はどうするの?」
「?良い成績残して、良い会社に就職して、良い給料をもらう?…そんなに深くは考えてないよ。」
意図のわからない質問に、ますますイライラしてしまう。
「夢とか、ないのかな?」
「…あまり現実的じゃないことは好きじゃない。だから、夢とかはない。勉強して、それを活かしてできることがあれば、それをやる。それの積み重ねだよ。」
「そっかぁ。それはちょっとざんねんだなぁ。」
葉月は少し顔を曇らせたが、またニコニコと本を仕分け始めた。
夢なんて、馬鹿馬鹿しい。夢を追うより、できることを堅実にやった方がずっと良いに決まっている。
そして、俺はこのイライラを解消するうってつけの方法を思いついた。
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