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しばらく作業を続けていると、図書室のドアが開く音がした。
今日の本の貸出は休みだ。となると、委員長が戻ってきたのだろうか。
「こんにちは。」
来たのは委員長ではなく、別の女子生徒だった。学年は、リボンの色で同学年のようなのだが、見覚えのない生徒だった。文系クラスの生徒だろうか。
「こんにちは。今日は貸出おやすみですよ。」
「あ、そうなんだ。ごめんね、お邪魔したかな。」
「いや、邪魔ではないよ。…文系の人?」
「ん、そうだよ?文系の人。今日はここに探し物に来たんだけど、ちょっとだけいいかな?」
探し物?何か特別な本だろうか。
「別に良いよ。本を探すくらいなら。貸出はできないけど。…何ならこのラベル張りも手伝ってくれても良いんだよ?」
「んー?じゃあ手伝っちゃおうかなー。」
ダメ元で言ってみただけなのだが、あっさりと了承された。
「ホントに?助かるよ。」
これで少しは早く帰れるだろう。委員長にも仕事が早いと褒められるだろうか。
隣に、女子生徒は座った。湿った空気の中で、彼女の髪から柑橘系の甘い香りがして、少しドキッとした。よく見ると、横顔も、整った顔をしていて、なんだかまともに見ることができなかった。
「そういや、名前は?」
視線を外しながら、聞いた。
「ハヅキだよ。葉っぱのお月さまで葉月。ありふれた名前でしょ?君の名前は?」
「俺はオオバユウキ。大きい葉っぱの大葉に、優しいと元気の気で優気。」
「おおー葉っぱ仲間だねぇ。」
葉月は小さくパチパチと拍手をした。
「葉っぱ仲間ってなんだよ。ああ、えと、手伝ってほしいのはこのラベルをあの本に全部貼って、そして本棚に戻していくんだ。」
カウンターの隣に置かれた台車の上に山積みになっている本を指さしながら俺は言った。
「多いねぇ。じゃあちゃっちゃとやっちゃおうか!」
葉月はテキパキと作業を進めていく。
「それで、葉月が探している本って、何の本?」
作業の手は止めずに、聞いてみる。
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