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放課後の図書室にて
その日は、とても蒸し暑くて、何もしなくても、不快指数が自然と高くなってしまう日だった。
だと言うのに、俺は更に不快になっていた。
というのも、図書委員の仕事があって放課後に図書室で一人、黙々と作業をしなくてはいけないからだ。
「じゃあ、言った通りにラベルの張替えと、本の整理。よろしくね。」
一つ学年が上の、図書委員長はテキパキと俺に仕事内容を伝えた。
「ホントに一人でやるんすか?結構な量がありますけど。」
「他の委員の子だってやったんだから、君も自分の分はちゃんと片付けないと、ね?」
「…了解です。」
委員長は、じゃあよろしくね、と言い残して図書室を後にした。
委員長は、わりかし美人な人だった。校内でも密かに人気があるようで、そんな委員長と一緒に作業ができるかもと、かすかに期待したのだが。人生そううまくはいかない。
静寂と、ジメジメした空気と、本の独特の香り。
図書室は、わりと広い。俺は本の貸出を行うカウンターに座っているのだが、ぐるりと図書室全体を見渡せる作りになっていて、余計に広く感じた。
こんな中、自分は一人で黙々と作業をしなくてはいけないのか。
「…やってられんな。」
シャツのボタンを第二ボタンまで外し、裾もズボンから出してしまって、なるべく楽な格好になる。
暑い。額に汗をにじませながら、俺は割り振られた仕事に取り掛かる。さっさと終わらせて帰ろう。
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