第4章 恋の迷宮

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「ひ、ろとさん…やだ…」 彼女は目を伏せた。 「どうして急に…ディープキスなんて」 どうして急にというけれど、僕はずっと君としたいと思っていたんだよ。 君が嫌だというから我慢していただけで、本当はずっと前からしたかった。 君と、濃密なキスを。 君の唇は、今日も潤っているんだね。 とても潤っていて、また君の唇を奪いたくなる。 何度奪っても足りないくらいに。 もしかして、グロス…塗ってる? 僕は彼女の唇の輪郭を、指でなぞった。 彼女はくすぐったい、と僕の手首を掴んだ。 「グロス…塗ってる?」 僕は彼女の鼻に触れるくらい近くで、そう呟いた。 「っ、はい…」 「誰のため?」 「もう、わかってるでしょう。博人さんのためです」 「本当?嬉しいな」 彼女は、笑いながらも照れていた。 彼女の見えない左目。 こうなってしまったのは僕のせい。 でも、それを感じさせないくらい彼女を幸せにする。 そんなことなんか忘れてしまうくらい彼女を、幸せで埋め尽くす。 僕は君の、杖になる。 君の手となり足となり、君を守るよ。 そんなことで償えるとは思っていない。 一生かけて償おうと思っているよ。 そう、一生をかけて、だよ。 君はまだ気づいていないんだろうな。 僕が並大抵の覚悟じゃない気持ちを胸に秘めているとは。 僕が彼女をエスコートする。僕は君のボディガードだ。 何があっても君を守るから。ずっとそばにいてね。 いやだと言っても、離す気はさらさらないけど。 君は、いつもきらきらとした目で僕を見るね。 その目を曇らせないように、僕は君と一緒に幸せを掴むよ。 この手で、一緒に掴んでいこうね。 絶対に僕の手を、離すんじゃないよ。僕が君の、左目になるから。 大丈夫、不安なんて吹き飛ばす。 君は、僕の太陽。僕のダイヤモンド。 ずっと僕の胸で、輝いていてね。 「心愛ちゃん」 「ん?なんですか?」 「もう一回、いい?」 「はい…」 彼女が目を閉じた。 僕は再び、優しく彼女の唇を塞いだ。 彼女の舌と僕の舌はしっかりと絡み合った。
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