第5章 悪夢の再来

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「それでね」 保乃果が心愛に言った。 「うんうん」 「もう驚いちゃったの、私」 「そんなに博人さん、慌てていたの?」 「そりゃあ、もう…必死だったわよ?あんな博人、今まで見たことない」 「そんなに…」 心愛は目を丸くした。 「それほど、心愛ちゃんにベタ惚れなのよ、博人は」 「嬉しい…夢を見てるみたい」 心愛はぼんやりと天井を見つめて言った。 「夢じゃないわよ。ほら」 保乃果は、心愛の手の甲の皮を少し引っ張った。 「いたっ…本当だ。夢じゃない!」 心愛は笑った。 「でしょ?」 保乃果も、心愛につられて笑顔になった。 「いやー、見せたかったな。あの慌て様」 「見たかったなあ…博人さん、いつもクールで冷静でしょ? だから、慌てているところなんて一度も見たことない。 何が起きても冷静な博人さんだから…なんか、信じられなくて」 「確かにねー。博人はクールだからねえ。余裕がなくても余裕ぶってるとこ、あるから」 「えっ?そうなの?知らなかった」 心愛は驚いた。 博人にはいつも大人の余裕があるー心愛はそう思っていた。 「余裕ぶってる…?」 「そ。」 「たとえば?」 「なーに?知りたい?」 保乃果はにやりと笑った。 「だって…」 「いいよ。教えたげる」 そう言って、保乃果は冷静さを完全に失った博人を思い出すように話し始めた。
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