その2

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

その2

目が覚めると、今日も椎名さんが横にいた 「今日はどんな夢でしたか?」 椎名さんは優しい微笑みで今日も尋ねる 「あぁ、今日も少し違った感じで・・・」 「違った感じ・・・ですか?」 「はい、なんだか不思議な感じで・・・」 「なんだか少し懐かしいんです。」 2日のうちに見たあの夢は何なのであろう 死ぬのを待つ退屈な時間の中に、少し疑問が出来た どうせ死ぬんだったら、夢の正体が分かってからでも 私は夢に興味を持った そして今日も訪れる ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ 今日もまた夢を見る ―― 今日も会えましたね ―― あの彼女は、私の目の前にいた 「・・・君はどこからきたの?」 君は誰、なんてもう聞かないよ でもせめて、どこからきたのかだけは知りたくて ここは私の夢の空間だから すると彼女は微笑みながら ―― あなた・・・ですよ ―― そういって私を指さした 「えッ、僕?」 予想外の返答に少し困ったのはこの私 でも、向こうの方も表情が少し変わった 彼女は少し寂しそうで ―― 思い・・出せませんか・・・?―― 先程よりか細い声でそう言った 「・・・ごめん、思い出せないよ。」 ―― そうですか・・・ ―― 彼女はそのまま黙ってしまった 先程思い出せないといった でもなぜだろうか この夢の、この桜の香りに、目の前の彼女 私は以前にもこのような・・・ ―― あ、あのッ・・・!―― 彼女の呼びかけで、その思考は途切れた ―― あの、でしたら・・・いつかの日までには・・・―― 「・・・?」 ―― その日までに、思い出してください ―― 「は、はい・・・」 僕は思わず二言返事 返事をきいて、彼女は再び微笑みを浮かべた そして彼女は、また花吹雪のなかへと消えて行った 彼女が発した問いかけは一体何だったのだろうか その疑問が、私を現実の世界へと連れ戻す
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!