ROOM.No.666

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 そういうわけで、悪魔も掃除に加担してくれた。  悪魔は掃除機がけを好んだ。モーター音が猫を寄せ付けないからだ。  飾り棚の埃を払っている時、伏せたままにしていた家族写真が目にとまった。 「どうしたの?」 「明日、実家に帰るよ」  実家に帰れば、こんな面倒な掃除などしなくてすむ。黙っていても飯が三食出る。洗濯も任せっきりだ。これ以上の堕落はあるまい。  意気込む俺に反して、悪魔は静かだった。 「そっか。猫はどうするの?」 「ゲージに入れて連れてくよ」 「よかった。そいつ嫌いだもん」 「なんだ、留守番か?」 「まーね」
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