ROOM.No.666

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 翌日は休日だった。  朝寝坊をした僕は、うっかり燃えるごみを出すのを忘れてしまった。  ごみ収集車のメロディが遠のく。悪魔が耳元で囁く。 「どうする? どうせみんなルールなんて守ってないよ」  ニヤニヤと笑う悪魔に、僕はこう言った。 「ルール遵守は三日の辛抱。違反は一生の恥」 「つまんないの」悪魔が口を尖らせる。 「それより、ここに居座るならごみには気をつけてよ。例のあの虫が出るから」  悪魔の顔がこわばる。  黒い羽同士、仲良くやれるんじゃないの──とは言わないでおく。
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