ROOM.No.666

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 これからは独立独歩で生きていく。たとえその結果、野垂れ死にしようが僕の勝手だ。こんな田舎で家業を継ぐなんて嫌だ──そんな僕の言い分を、母は尊重してくれた。  だから僕も、なるべく母の言いつけに従おうと思う。  母はこうも言っていた。  たまには家に帰ってくること。お父さんが安心するから。  残念ながら、こちらの言いつけは当分果たせそうもない。今年の夏も盆休みが取れなかったのだ。  罪滅ぼしというわけではないが、食事だけは毎日欠かさない。僕は誠実な息子なのだ。  焼きそばの容器の山が、その証拠だ。
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