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駅前のカフェ。
そこは学生が通うオシャレなお店というよりは、ビジネスマンがよく使う珈琲がメインの少しお高めのお店だ。
なんとかフラペチーノとか甘くておいしいドリンクを売ってるお店で働いてみたい気持ちはあったけれど、こっちの方が時給が良かったので、背に腹は代えられぬと、このお店に決めた。
時間を確認しながら小走りで駅前まで向かうと、少し息を整えてからお店に入った。
「いらっしゃいませ――って、あれ? 日南ちゃん、まだ時間余裕あるよね」
「うん、ちょっと待ち合わせなの。時間になったら事務所に行くよ」
「わかったー。案内はいい?」
「だいじょうぶ!」
30分後、私と入れ替わり予定の彼女に手を振って、喫煙ルームへ進む。
昼過ぎは一服しにくるサラリーマンが多くて、いつも以上に煙たい。
あんまりタバコは得意じゃないけれど、彼がここにいるのだから致し方ない。
きょろきょろとあたりを見渡して、すぐに目当ての人を見つける。
「諒ちゃん! お待たせ」
「呼び出してごめんな」
「平気だよーちょうど講義も終わりだったし、バイトまでもう少し時間もあるから。それに、私も会いたかったし!」
「日南……」
ちょっとだけ照れながら、本心を伝える。
諒ちゃんも片眉を下げて笑いながら、話を変えるように咳払いをした。
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