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全部、手のひらの上
それから、諒ちゃんと付き合っていた4年間はあっさりと終わりを告げた。
というのも、なんと諒ちゃんの方からSNSというSNSを片っ端からブロックされてしまったのだ。
「4年も付き合ったのに、こんな終わり方ってある~!?」
「最近結構聞くよ~やっぱ高校時代の純粋な付き合いって、長く続かないもんなんだよねえ」
みたらし団子を頬張りながら、隣で杏子(あんこ)ちゃんがしみじみと言う。
「でも別にお金返せとは言わないから、思い出は綺麗に終えたかったよ~」
「まあいいじゃん。思い出以上に綺麗な出会いをしたんでしょ?」
「え? そ、それは……」
ここ数日、順調にやり取りの続いている彼を思い出す。
あの出会いからメッセージのやりとりをするようになってわかったこと。
彼の名前は、黒崎湊(くろさきみなと)。
私より5つ上の25歳で、会社員らしい。
年上らしい余裕があって、だけど偉そうじゃなくて。
メッセージだけでも、彼が素敵な人だということが伝わってくる。
「もう好きなんでしょ?」
「ち、違うよ! だってそんな私はまだ傷心中だもん」
「うそつけ。目がハートになってたよ」
慌てて目を隠すように覆うと、私の分のみたらし団子まで取られた。
騙されることに傷ついてるのに騙すなんてひどい。
そんなくだらないやりとりをしていた時、黒崎さんからメッセージが届いた。
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