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Xdayへのカウントダウン
Xdayから遡ること数日前。
私はごく普通の大学生として、近くの平平凡凡な私立大学に通っていた。
小学校中学校高校すべて平均的な偏差値で、友達も彼氏も人並み程度にはいた。
きっとこれからも今まで通り平凡に、身の丈に合った会社に就職して、そこで出会った人と紆余曲折を経て結婚して、それなりに幸せになるのだろうと思っていた。
そんな平凡な日々が狂い始めたのは、夏の終わり。
残暑が厳しい9月のことだった。
「日南(ひなみ)は今日もバイト?」
「うん、今日は駅前のカフェだよ。よかったら遊びに来てね!」
「帰りにお金があったら寄る~」
「待ってるー!」
昼過ぎの学食でだべる友達数人を置いて、1人バイトに出かける。
いつもならあの輪に混じって、日が暮れるくらいまでくだらない話をしながら過ごすんだけど、今はそうも言っていられない。
(今月中にあと20万!)
そう、私は稼がねばならないのだ。
最愛の人のために。
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