入寮!

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入寮!

「よし、準備完了!」 空っぽになった部屋に、眩しいほどの日差しが差し込む。 私は今日、この部屋を出て行く。 「7年間、お世話になりました」 スーツケースを手にお礼を言った時、ドアが開く音がする。 振り返ると、お世話になっている伯母さん夫婦とおばあちゃんが心配そうに部屋を覗き込んでいた。 「本当に大丈夫? 1人暮らしなんて、最近物騒なのに……」 「いつでも帰ってきていいんだよ、一花ちゃん」 「そうよ。学費の心配なら……」 「みんな大げさだよ。それに1人暮らしじゃなくて寮暮らしだから、大丈夫!」 なおもまだ納得いかないのか、心配そうな顔をする3人に笑顔を向ける。 そして、おばあちゃんの手をぎゅっと握った。 「みんな、今まで本当にありがとう。お世話になりました」 「気を付けてね。何かあったらすぐ電話してね」 「道に迷いそうになったら、近くの人に聞くんだよ」 「うん! 着いたら連絡するから」 玄関まで見送ってくれた3人に背を向けて、駅へと歩き出す。 何度振り返っても3人は家に入ることなく見送ってくれていて、その温かい優しさに胸がいっぱいになる。 角を曲がる直前、もう一度大きく手を振って、今度こそさよならを告げた。
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