波乱の入学式

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その日の夜、シーンと静まり返ったリビング。 「また1人……」 テーブルには全員分の生姜焼き。 今日は入学式だし、お祭り気分で来てくれたりしないかなと思ったけれど、そんなうまくいくはずもなかった。 (いつもは音紘さんが来てくれるけど、今日はお出かけかな……) よく考えてみれば久しぶりに友人に会う日でもある。 晩御飯くらい、一緒に食べてくる方が自然だ。 (それに比べて私は……1人も友達できなかった) 凌さんのお陰で少し元気になったけれど、今日は正直あんまり良いことがなかった。 教室で向けられた視線と、渚くんと樹生くんのケンカ。 (うーだめだ。こんなので落ち込んでちゃだめ。大丈夫なんだから) 今日友達ができなかったのなら、明日作ればいい。 明日だめなら明後日。明後日がだめなら、明々後日。 まだまだいっぱい、チャンスはある。 渚くんと樹生くんのことだって、2人を知るいいきっかけになった。 雨降って地固まる、って言うし、きっとこういう波乱は地固まるためにあるんだ。 (だから大丈夫) 1人の晩御飯だって、平気。 「大丈夫なんだから、だーいじょうぶ」 「何が?」 「えっ、わ!? 樹生くん? いつから」 「今きた。これ、俺の?」 「え?」 樹生くんは私の向かいに座って、お皿を指差す。 一瞬何のことか分からなくて、一拍置いて慌てて頷いた。
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