妖怪感染!? その1

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「静かにしろって言ってるだろう」 春一の部屋のドアが開いた。 「ナツキ」 「夏兄」 部屋から出てきた夏樹は、心配そうに見上げる弟ふたりの顔を見ても、表情を変えない。 眉間に深い皺を刻んだままだ。 「春兄、どうしたの?」 心配そうに聞く冬依に、夏樹は、 「春は別に怪我したわけじゃねぇよ。だから救急箱はいらない」 ぽんと頭の上に手のひらを置く。 やはりさっきの連行される犯人みたいだったのは春一だ。 でも、怪我でなければ、何だって顔を隠す必要がある? 首を傾げる秋哉だったが、ふと、自分を見つめている夏樹に気づいた。 マジマジと、真剣な目で見下ろしてくる。 「お、おお? なんだ?」 いくら実弟といえど、熱視線を注がれると火傷しそうになるのが夏樹の眼差し。 その眼差しは兄弟随一に色っぽい。 夏樹はボソリと、 「春が戦ったのはオオカミだ」 「へ?」 「ほ?」 「ライオンでもゴリラでもねぇ。あれはきっとオオカミだったんだ」 「……へ?」 「……ほ?」 さっぱり意味がわからない。
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