97人が本棚に入れています
本棚に追加
/228ページ
と、
「――待て待て、待て待て!」
怒鳴り散らす声が響いた。
声が聞こえてくる元は一台のスマートホンで、そこに写しだされているのは秋哉だ。
秋哉は画面に齧り付かんばかりの距離から、
「カズから離れろナツキ!」
怒鳴り声をあげる。
しかし当のカズエが眉をしかめて、
「ちょっとアキ、ツバ飛ばさないでよ」
冷たく言い放つので、慌てて画面から身を引く秋哉だったが、
「電話でツバなんか飛ばねーだろーが」
すぐにハッと思い直して言い返す。
「だから、カズはそこで何してんだよ!」
カズエは手に持った菜箸をこれ見よがしに秋哉に見せつけながら、
「何って……、夏樹さんに料理を教えてもらってるに決まってるじゃない」
最初のコメントを投稿しよう!