秋哉の場合

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と、 「――待て待て、待て待て!」 怒鳴り散らす声が響いた。 声が聞こえてくる元は一台のスマートホンで、そこに写しだされているのは秋哉だ。 秋哉は画面に齧り付かんばかりの距離から、 「カズから離れろナツキ!」 怒鳴り声をあげる。 しかし当のカズエが眉をしかめて、 「ちょっとアキ、ツバ飛ばさないでよ」 冷たく言い放つので、慌てて画面から身を引く秋哉だったが、 「電話でツバなんか飛ばねーだろーが」 すぐにハッと思い直して言い返す。 「だから、カズはそこで何してんだよ!」 カズエは手に持った菜箸をこれ見よがしに秋哉に見せつけながら、 「何って……、夏樹さんに料理を教えてもらってるに決まってるじゃない」
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