97人が本棚に入れています
本棚に追加
/228ページ
きついボディブローを食らったような顔をする春一に、
「鈴音と潤が側にいるんだ。少しは自重しろよ」
説教せずにはいられない夏樹だ。
「あんま危ねーことばっかすんな」
すると、
「だからだよ」
春一は言う。
「鈴音と潤の前で格好つけなきゃ、いつ、つけろっていうんだ」
「それで潤に怖がられてたら、意味ねーだろうがよ」
「……」
返す言葉もなくシュンとうなだれる春一。
最近、とみに人見知りが激しくなった潤は、春一を見ると泣くようになってしまった。
仕事仕事で、潤が起きている時間に家に帰れることが少ないせいだろうが、機嫌が悪い寝起き時なんかだと、もうテキメンに泣かれてしまう。
そんな潤を抱いてこちらに近づいて来ようとする鈴音に、春一が身の置き所を探していると、夏樹は春一の足をゴインと蹴っ飛ばした。
「潤は俺が預かっとくから、春は鈴音を慰めてやれ」
「慰める?」
「言ったろ鈴音もパニックを起こしたんだ。鈴音の心臓が鋼で出来てるとでも思ってんのか」
言い置いて、夏樹だけが足早に鈴音たちに近づいていく。
最初のコメントを投稿しよう!