潤、14歳

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しかし、 「てめぇ舐めたこと言ってんじゃねーぞ」 「何だってんだよ、お前はよー」 いきなりの夏樹の乱入に、当然チームの男たちが黙っているはずもなく、ガソリンをぶっかけられた火のようにいきり立っている。 「のこのこやって来やがって、ここから無事に帰れると思ってんじゃねーぞテメェ」 拳を固めて殴りかかってきた! 「ひゃあっ!」 一緒にいたさくらは悲鳴をあげたが、潤は平気だ。 夏樹に任せておけば、何も心配はいらない。 夏樹はさくらの腕を掴んで自分の元に引き寄せると、潤の肩も抱えたままヒョイッと男の拳を避ける。 それから、 「ああもう、めんどくせぇな」 潤を相手にする時とは違う乱暴な口調で、 「おい!」 ドアの外に呼びかけた。 するとドアが開いて、たちまち入ってくる何人もの派手な男たち。 「えっ、えっ……」 潤やさくらもびっくりしたが、チームの男たちも混乱した様子だ。 「おい、見張りはどうしたんだよ」 「いったい誰だ、てめーら」 しかし一番戸惑っていたのはリーダー格だった志島で、 「え、あれ? 前山さん!」 どうやら乱入してきた男たちの中に、顔見知りがいたらしい。 前山と呼ばれた男は志島の前に歩み出ると、 「お前、バカやりやがって」 言うが早いか拳を振り上げ、 ――バキッ! 志島をひどく殴り飛ばした。 それから前山は夏樹に向き直り、その前に膝をつく。 「ナツキさんスンマセン。後の始末はどうかオレらに任せてください」 深々と頭を垂れた。
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