潤、14歳

4/9
99人が本棚に入れています
本棚に追加
/228ページ
夏樹が運転する車の中で潤は、 「もう夏樹ちゃんってば、さくらまでびっくりしていたじゃない」 家まで送り届けたさくらが、最後まで、 「あの人たちは誰? そしてこのヒーローは誰なの潤っ」 夏樹に大騒ぎしていたから、明日学校で説明するのが大変だろう。 「あんなにいっぱいの人を集めちゃって。夏樹ちゃんはちょっと話を大げさにしすぎなんだよ」 夏樹は何ごとも派手好きなのだ。 そこが玉に傷なところで、夏樹が動くと、どうしても目立つことになってしまう。 しかし夏樹は、 「俺だから、あんなもんで済んだんだぜ」 悪びれた風もなく、ふふんと鼻をならす。 「春にバレてみろ。あいつら今ごろ間違いなく病院送りだ」 潤の父親の春一は、普段は温厚だが、怒らせると誰よりも恐ろしいらしい。 実感したことはないが、夏樹がそう言うなら、きっとそうなのだ。 それで仕方なく、 「うん。助けてくれて、ありがとう夏樹ちゃん」 潤が素直にお礼を言うと、夏樹は少しだけ真剣な目をして、 「潤も気をつけろ。あんなヤツらに簡単についていっちゃダメだ。男なんて誰も信用すんな。もっと警戒心を持て」
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!