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夏樹が運転する車の中で潤は、
「もう夏樹ちゃんってば、さくらまでびっくりしていたじゃない」
家まで送り届けたさくらが、最後まで、
「あの人たちは誰? そしてこのヒーローは誰なの潤っ」
夏樹に大騒ぎしていたから、明日学校で説明するのが大変だろう。
「あんなにいっぱいの人を集めちゃって。夏樹ちゃんはちょっと話を大げさにしすぎなんだよ」
夏樹は何ごとも派手好きなのだ。
そこが玉に傷なところで、夏樹が動くと、どうしても目立つことになってしまう。
しかし夏樹は、
「俺だから、あんなもんで済んだんだぜ」
悪びれた風もなく、ふふんと鼻をならす。
「春にバレてみろ。あいつら今ごろ間違いなく病院送りだ」
潤の父親の春一は、普段は温厚だが、怒らせると誰よりも恐ろしいらしい。
実感したことはないが、夏樹がそう言うなら、きっとそうなのだ。
それで仕方なく、
「うん。助けてくれて、ありがとう夏樹ちゃん」
潤が素直にお礼を言うと、夏樹は少しだけ真剣な目をして、
「潤も気をつけろ。あんなヤツらに簡単についていっちゃダメだ。男なんて誰も信用すんな。もっと警戒心を持て」
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