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「ごめんなさい。私がぼうっとしていたから」
「鈴音のせいじゃないよ。俺がドジっただけだ」
鈴音は謝るが、春一は首を振ってくれる。
それどころか、
「今度はもう少し俺の側を歩いてくれないかな。そうしたら、この腕でも鈴音のこともちゃんと守れるから」
そんな風に言ってくれる春一に、鈴音はますます自分が情けなくなってくる。
『どうして私はいつも、こんななんだろう』
落ち込む鈴音に、春一はちょっと言いにくそうに唇を歪めて、
「それで、あの……。俺、鈴音に何かしたかな?」
「え?」
「だって今日はずっと、俺のこと避けてるだろう」
そんなつもりはないと鈴音は首を振るが、
「だって、やっと休みなのに、別にどこにも行きたくないって言うし。その割には潤とふたりで出かけるなんて言うだろう」
春一はちょっと拗ねたように唇を尖らせる。
「なんか俺、鈴音の気に食わないことでもしたのかなぁって」
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