春一と鈴音

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「大きくなった潤に、パパ嫌いって言われたくないしな」 なんて言いながら、潤をあやす春一に、やっぱり鈴音は泣けてくる。 「だからどうして泣くんだよ鈴音」 春一は困惑しきった顔をして、それでも鈴音の涙を不器用に拭ってくれた。 鈴音は、 「だって春さん」 上目遣いで見上げて、 「春さんは完璧すぎなんです。だから余計に私の不甲斐なさが目立ってきちゃうんです」 自分が情けないと泣く鈴音に、春一はぽかんと口を開ける。 「俺が完璧? 嘘だろう」 「嘘じゃないです」 鈴音はここぞとばかり力説する。 「だって仕事は出来るし格好いいし、誰より優しいし格好いいし。私と潤をいつも守ってくれるし格好いいし……」 春一は、 「ごめん鈴音、もうその辺で勘弁して」 顔を手のひらで隠して白旗をあげる。 「ちょっと、恥ずかしいから……」 春一は耳まで真っ赤になっている。
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