96人が本棚に入れています
本棚に追加
/228ページ
「大きくなった潤に、パパ嫌いって言われたくないしな」
なんて言いながら、潤をあやす春一に、やっぱり鈴音は泣けてくる。
「だからどうして泣くんだよ鈴音」
春一は困惑しきった顔をして、それでも鈴音の涙を不器用に拭ってくれた。
鈴音は、
「だって春さん」
上目遣いで見上げて、
「春さんは完璧すぎなんです。だから余計に私の不甲斐なさが目立ってきちゃうんです」
自分が情けないと泣く鈴音に、春一はぽかんと口を開ける。
「俺が完璧? 嘘だろう」
「嘘じゃないです」
鈴音はここぞとばかり力説する。
「だって仕事は出来るし格好いいし、誰より優しいし格好いいし。私と潤をいつも守ってくれるし格好いいし……」
春一は、
「ごめん鈴音、もうその辺で勘弁して」
顔を手のひらで隠して白旗をあげる。
「ちょっと、恥ずかしいから……」
春一は耳まで真っ赤になっている。
最初のコメントを投稿しよう!