99人が本棚に入れています
本棚に追加
/228ページ
『……ものすごい人気』
確かに、小脇にヘルメットを抱えたパイロットスーツ姿の秋哉は、誰よりも格好いい。
抜群に格好いい。
カズエの位置からは豆粒みたいで、秋哉の顔なんかまったく見えないけれど、よく知っている秋哉のあの顔がパイロットスーツの上に乗っかってると思えば、女の子たちが騒ぐのも無理はない。
無理はないと納得出来るものの、なんだかカズエの足から、ガクンと力が抜けてしまった。
秋哉が、カズエの知っている秋哉とは、全然違う人になったみたいだ。
あんなにも人気者で格好良くて。
もうカズエなんかには手の届かない、遠い人になってしまったみたい……。
締め付けられるように胸が痛くなってきた。
「……アキ」
気軽にそう呼んでいた頃が、泣きたいくらいに眩しく思い出される。
最初のコメントを投稿しよう!