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冬依 裏
「ああどうか頼むよ、頼むよトーイ」
追いすがるジェラールを、冬依は氷の眼差しで振り返る。
睨むのではなく、ただ冷え冷えとした感情のない眼差しに見つめられて、ジェラールはたまらずその場にひざまずいて冬依に許しを請うた。
「キミの意思を尊重せずに乱暴しようとしたことは謝る。もう二度としない。だから頼む――」
ジェラールは必死のあまり涙まで滲ませている。
冬依は、
「――ふう」
聞こえよがしの大きなため息をひとつ吐いて、
「許されたいのなら、もう二度とボクの視界に入らないでよね」
残酷に言い捨てて、足早にミーティングルームを出た。
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