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冬依は、
「リュカはクレマンに今回のことを訴えるって事務室に向かったよ。これはその証拠」
部屋で見つけたカメラを見せる。
そこには冬依を襲うジェラールの姿が写っている。
「残念だったねジェラール。キミはもうオシマイだ」
ジェラールは自分がリュカに利用されたことをようやく悟った。
そしておまけに、
「リュカはキミと違ってとっても紳士だったよ」
冬依が笑顔で付け足してやれば、ジェラールは怒髪天を突かせて部屋から出て行く。
「……やっぱりバカだ」
これでリュカとジェラールが、何も知らないクレマンの前で醜態でもみせてくれれば御の字だ。
上手くいけば、ふたりはクレマンのショーから下ろされる。
そこまで大事にはならなくても、しばらくはおとなしくしているしかないだろう。
後はゆっくり、リュカが残していったこのカメラを有効に使う方法でも考えれていればいい。
冬依は頭の中で想像してフフッと笑う。
その顔は見る者がいれば感嘆するぐらい天使だ。
そしてジェラールとリュカが、再び冬依を狙ってくる報復攻撃に備えて、
「……番犬を呼んどくか」
冬依は自ら、自分の靴を水中に沈める。
――裏 了――
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