遠い思い出

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 例えて言うなら、星の王子さまに出て来るボアの絵の中身が見えても見えなくてもどうでもいい。そういう上滑りな童心を失った連中に認められず馴染めない為に職を転々とする俺は、四十五歳で無職になって到頭、再就職に行き詰まった。それで仕方なく地元のハローワーク(以下T所とする)へ行くことにして初めて職業相談をした職安職員に、「四十五歳というともう幹部の人間になっていなければいけない歳ですがねえ。」と言われ、それが幹部どころか首ですかと暗に言っているのがありありと窺えたので非常に辱められ、首になった人間にそんな事を言ったら恥ずかしい思いをさせ、職業相談へ行き辛くさせ、益々絶望的にさせる事になるのに何で再就職を斡旋する人間がそんな物言いをするんだ!と甚だ不服に思った。
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