開店時間

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開店時間

「よし! ミーティング始めるぞー」  フロア長のこの一言で開店準備していた従業員は--レジ担当は釣り銭を数えてキャッシャーを締め、売り場担当者は欠品確認の手を止めて--対面カウンターに集まる。  開店時間10分前。  お客様のいないフロアはガランとしていて、軽快な店内BGMだけが空々しく響き渡っていた。 「おはようございます!」  フロア長の声に負けないよう従業員も声を張り上げる。 「おはようございます!」 「えー、6月5日、今日の予算は200万円ですね。内訳は食品35万、家庭雑貨20万、スポーツ10万、服飾雑貨5万、時計100万、自転車20万、玩具文具10万となってます」  それを聞いて、時計担当者の山崎は思わずげんなりとした表情を浮かべてしまう。  フロア長の石橋はそれに気付きながらも無視して言葉を続ける。 「今日は時計と自転車が若干高めかな。食品はドリンクが好調なので欠品しないよう、裏にあるの、とんどん出しちゃって。……以上! よろしくお願いします!」 「よろしくお願いします!」  開店5分前。  ある者は屋上の駐車場へカート回収に向かい、ある者は店内のカゴの配置と量をチェックしに、ある者は売れ筋の欠品商品を取りにバックヤードへ。  それぞれ戦闘準備に取りかかる。  約一名。  時計担当の山崎を除いては。
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