心臓の音を聴く

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心臓の音を聴く

 僕ちゃんが会いたいのはいつだってしずえちゃんだ。  聖春彦だって間違いなくそうだ。  同じ気持ちだったと思います。    モード学園仕込みのおしゃれなしずえちゃんに会いたい。  モードな女の子は前髪がぱっつんでツヤツヤなストレートの黒髪だ。  いつだって自分がブランドなのだ。  僕ちゃんもピン子さん同様、薄々感じていました。  いや、確信していました。  聖春彦と付き合っているな? と。  でも、僕ちゃんが本当に用事があるのは彼女の心臓であって彼女の魂ではないのです。  魂は聖春彦にプレゼントするとして僕ちゃんはターゲットを研究します。    ジョン・レノンのイマジンでも聴きながらソファーに座って目を閉じます。    想像してごらん。  大きな胸を左右に避けて、硬い胸骨を確かめるところを。    想像してごらん。    お医者さんみたいに指を添えてトントンするところを。  ハハハ、なんてね。    興奮します。  トントンのたびに胸も乳首も揺れます。  耳を当てて柔らかいものに顔と後頭部が挟まれます。  心臓の音を聴くんです。  ワルツです。    その想像通りのことを僕ちゃんはしずえちゃんにしました。
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