4人が本棚に入れています
本棚に追加
僕ちゃんは神です。
「まったくの作り話」の内容は犯罪以前に殺人であって、殺人以前に、僕ちゃんの欲望でした。
「欲望」良い二文字です。
「君は僕ちゃんの欲望なんだよ」と口説く時には既に彼女達は恋に落ちていたのであります。
もしくは落ちていてくれた。
それも恋のようなものに。
まぁ、そのような感じであり、罠にしっかりとか掛かってくれました。
しかし、なんともありがたい。
男身寄りにつきます。
世の男性に言いたい。
男は見かけじゃないんですよ。
いや、ある意味見かけなんです。
一つ言えることは、僕ちゃんはハンサムの部類ではないと思われます。
頭はスキンヘッドで側頭部に手術痕があります。
結構大きめの傷です。
目は左右非対称で右目はぱっちり二重で、左目は一重で少ししか開いていません。
身長は178センチと日本人としては少し高めかもしれません。
体格は筋肉質で多少の筋トレをしジョギングを趣味としています。
色黒の僕ちゃんからは「イカツイ」という印象をほとんどの人が持ちます。
ですが、話し方や仕草に気をつけているので、柔らかい、やさしい印象を持たれます。
たまにゲイにも間違われますが、僕ちゃんはれっきとしたストレートです。
もちろん女好きですが、先ほどお伝えしたとおり好みがはっきりしています。
そしてその好みの女性が見つかると、彼女のことを考えます。
彼女は何が好きで何が嫌いで、そしてその嫌いなものをどうしたら好きになってくれるのか?
そんなことを考えながらどんどん近づき距離を縮めます。
最初は遥か彼方から、そのうち大きな木の陰から、低木の陰に寝そべって見守り、少しずつ餌をまき安心させおびき寄せ、やんわりと罠に嵌めます。
ええ、恋ですよ。
もちろん。
でも、これはハンティングではありません。
僕ちゃんも彼女が大好きです。
いや、「彼女達」が大好きです。
そして大好きでした。
でも、最終的に欲しいものは彼女達の胸の中に大切にしまわれている「心臓」です。
パンドラの箱を開けると握りこぶしくらいの「心臓」。
ドクドクと拍動する「心臓」です。
僕ちゃんがその「心臓」を手にした時には残念ながらすでに拍動はとまっていますがね。
そのために、僕ちゃんは恋愛を創造し提供します。
文字通りハートを射止めます。
「あなたの理想の恋」という物語です。
歯が宙に浮いて空の彼方に飛んでいってしまいそうなセリフまわしが際立ます。
僕ちゃんが投げる言霊は豆腐に串でも指すように、すーっと彼女達の心の的に刺さっていきます。
まったく痛みなんてありません。
むしろ気持ちいいでしょう。
そして彼女たちの心は攪拌されて、ぐちゃぐちゃになります。
それはそれはいとも簡単にです。
成功すると僕ちゃんは指を「パチン」と鳴らしニヤリとします。
右耳の鼓膜でその「パチン」を感じ取ると頭の中の埃が舞います。
そして手のひらに新しい宇宙が始まります。
ビッグバン!
僕ちゃんは神です。
手のひらにダンゴ虫のように転がっている人間を見下ろします。
なんてね・・・。
僕ちゃんはゴリゴリの人間です。
少し狂ってはいますがね。
最初のコメントを投稿しよう!