Twins~芽生え~

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2人でニコニコとして見つめ合っている姿は 傍から見れば微笑ましいほどで 大人しい璃子のことを心配していた 課のみんなはそれを温かい目で見守っていた(笑) 梶浦「宮野からいいことばかり聞いてるよ。頑張ってるんだね。」 璃子「!!」 『頑張ってる』 不器用な璃子にとってその言葉は慰めにも感じた。 研修を終えたとはいえまだまだ不安なことも多い。 ひとり立ちしろと投げ出されても どうしたらいいのか正直わからない部分もあった。 悩みを見透かされたようで 更にお酒の力も手伝って ウルっと瞳が涙で滲む。 梶浦「宮野が教育係で最初はどうなることかと思ったけど、長谷部さんが頑張り屋でよかった(笑)」 璃子「そんな・・・・私はまだまだです。。。」 梶浦「この前の報告書もよくできてたよ。この調子で頑張って!!」 璃子「はい・・・・・」 ダメだ・・・・。泣いちゃいそう・・・・。 梶浦に褒められれば褒められるほど 気を張りつめていたココロが解きほぐされていくようで 涙がじわじわとあふれ出しそうになる。 璃子「すみませんっっ・・・・・ちょっとお手洗いに・・・・。」 梶浦「え?ああ、うん・・・・・」 涙を見られたくなくて璃子は急いで立上り 梶浦にペコっと頭を下げると 口元を押さえながら化粧室へと向かった。 立ち上がると急にお酒が回っていることに気付いて 化粧室手前ではフラフラになって 壁を伝いながら歩く。 璃子『弱いところなんて見せたくない』 せっかく「頑張ってる」と言ってもらえたのに 弱く泣く姿を見られたくなくて 懸命に涙を押さえようとした。 化粧室の鏡の前には 真っ赤な目をした自分がいる。 璃子「こんなんじゃダメだ・・・・」 パンパンっと軽く頬を叩いて 気持ちを切り替える。 2課に所属されてからというもの 誰よりも仕事ができて頼りになる梶浦に憧れていた璃子。 優しく微笑む梶浦に 自分でも気づかないうちに 好きになっていた。 璃子『あの人のように仕事がしたい』 誰よりも仕事のことを理解し 的確な助言やメンタルケア。 好き好きフィルターにかかっているのか どうしても彼のマイナスな部分は見えなかった。 璃子『梶浦さんにいい子だって思われたい。仕事ができる頼りになる存在だって思ってもらいたい。』 そう思って頑張ってきた。 それを認めてもらえたようで つい涙が零れてしまったのだ。 ふぅっと息を吐き気持ちを切り替えて 梶浦に失礼を一言詫びようと思い 化粧室のドアを開くと すぐそばに彼が壁に凭れかかり待っていた。 璃子「梶浦さん・・・・・」 璃子の声に梶浦が顔を上げた。 。
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