Twins~芽生え~

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璃子「梶浦さん・・・・」 パッと顔を上げた梶浦は 心配そうに眉を下げて璃子を見つめた。 梶浦「長谷部さん・・・・大丈夫?」 この瞬間、璃子は梶浦に涙を見られてしまったのではと 心配になった。 梶浦にだけはどうしても見られたくなかったのだ。 けれど、梶浦の優しい声を聞いていると どうしても甘えたくなってしまう。 頑張って突っ走ってきたこれまでが 再び思い返されまた涙が溢れてくる。 璃子『泣きたくなんかないのに・・・・どうしても涙が止まらない・・・・』 梶浦「・・・・・」 璃子「ごめんなさい・・・・」 これ以上泣いてる姿を見られたくなくて 璃子は梶浦に背を向けた。 璃子『こんなとこ見せたくないのに』 梶浦「何かあった?」 璃子「・・・・」 返事をしない璃子に梶浦はどうしていいのかわからず アタマの後ろをかいた。 梶浦「よかったら席に戻らない?長谷部さんたちの会でもあるし・・・・」 璃子『こんな顔じゃ戻れない・・・・・』 梶浦「長谷部さん・・・・」 梶浦が手を伸ばしたその時 璃子はそれを拒絶するように 後ろに一歩下がって深く頭を下げた。 璃子「ごめんなさい!!今日は帰ります・・・・」 そう言って一目散にお店のドアへと走った。 梶浦「長谷部さん!!」 梶浦の声にも耳を傾けることなく 外へ出るとそのまま真っすぐ走り出した璃子。 璃子『サイテー!!サイテー!!サイテー―――!!』 会を開いてくれた同僚にも 心配してくれた上司にも 本当に申し訳ないことをした。 けれどそれが判っていても どうしようもなかった。 心配されてるなんて思ってもみなかった。 笑っていたかったのに それも出来なかった。 。
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