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またもや自身で退治しようと
息巻いていた璃子は
痴漢のエスカレートする行動に
すっかり固まってしまった。
璃子「ッッ!!!」
スカートの中に手が忍び込んでくると
今度は急に怖くなって声を上げられなくなる。
璃子『やだやだやだ!!!』
目を閉じて必死に耐えていると
紘人が『チッ』と言って痴漢の手を捕まえた。
紘人「おい、犯罪だって知ってる?」
(;゚Д゚)ヒョー
紘人は以前とは違って
小声で痴漢にそう言った。
すると痴漢は「カン違いだ」と憤慨した様子で
満員電車の中凄く遠くの方へ逃げて行く。
紘人「大丈夫か?」
璃子「え?ああ、大丈夫です。」
紘人「大丈夫ならいいんだけど・・・・」
璃子「はい・・・・・」
なんだか気まずい2人。
そりゃそうだ。
璃子にとっては彼氏の弟なのに
キスしてしまった相手。
紘人は・・・・・。
紘人「あのさ・・・・あの時はごめんな?」
璃子「え?」
紘人「痴漢だって騒がれたら、お前の方がイヤだよな。そんなこと考えもしなくって・・・・マジでごめん!!」
紘人は頭の後ろを掻きながら
気まずそうに眼を逸らしていた。
その様子はまるで雅人のようで
璃子の警戒心が少し薄れてしまう。
璃子「私の方こそ・・・・あの時も助けてもらったのに、お礼も言わずにすみませんでした」
紘人「それは別にいいんだけどさ・・・・いつも痴漢にあってるわけ?」
璃子「そんなことないです!貴方が乗ってる時だけです!!」
紘人「ぷっ(笑)俺のせいかよ~(笑)」
∑(=゚ω゚=;)
璃子「そういうつもりで言ったんじゃ・・・・」
紘人「わかってるよ(笑)」
笑っている紘人をみて
璃子はそんなに悪い人に感じなかった。
あの時意地悪に見えた紘人は
本当は違うんじゃないかと思った。
雅人の双子の弟の紘人に悪い印象なんて持てるはずない。
どこまでもヒトの良い璃子は
あの時のことは忘れてしまおうと
心に決めたのでした。
。
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