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Twins~隠し事~
雅人が出張に行ってしまって3日が経った。
出張へは他の社員もいるため
結局見送りにもいけず。
毎日職場で顔を合わせていた彼がいないことで
かなり寂しさを感じていた璃子は
いつものような元気がない。
帰りの電車の中溜息をつきながらドアの前に立ち
景色を眺めていると
ふと何やら気配を感じた。
今は割と空いてる時間帯。
それなのにその人は
璃子にくっ付きそうなほど近づいてきた。
璃子『こんな時に痴漢??』
そう思い触られる前に顔を見た。
璃子「え?」
そこにいたのは紘人だった。
紘人「おお~!!痴漢される前に警戒できるようになったんだな(笑)」
璃子「紘人さん・・・・」
璃子は表情を曇らせた。
正直、雅人がいない弱っているときに
紘人に会いたくなかった。
この時間帯にしかも帰りの電車で
会うのは初めてで
いるなんて思わずつい動揺してしまった。
紘人「ん?どうかした??」
雅人とよく似た顔立ちの紘人。
しかし、紘人の方が子供っぽ人いうか
少しやんちゃな印象を持つ。
同じ顔なのに・・・・。
紘人「雅人が出張で寂しいんじゃない??」
璃子「・・・・はい。でもすぐ帰ってくるし、大丈夫です。」
紘人「ふーん」
璃子『あーー!早く駅についてーーー!!』
夢のことを思い出してしまって
璃子は紘人の顔を見ることが出来なかった。
雅人に対するドキドキと
似たような胸の高まりが嫌で仕方ない。
璃子『やだ・・・・こんな気持ちやだよ・・・』
紘人を意識しては
雅人への罪悪感ばかりが沸いて
モヤモヤと嫌な感情が広がる。
紘人「璃子の家ってどの辺??」
璃子「え?あー・・・・××町です・・・・」
紘人「そーなの?俺、これからそっちに用があるんだよね!!近くまで一緒に行こうぜ??」
Σ( ̄□ ̄|||)
璃子『イヤっていってもいいのかな?こんなの・・・・雅人さんが嫌がるに決まってるよね?』
断ろうにも変だと
大した返事をすることも出来ず、
さきに雅人へラインすることにした。
璃子『電車で偶然紘人さんに会いました。××町へ用があるそうで途中までご一緒することになってしまいました。』
文章を作っていると視線を感じた。
顔を上げるとすぐ近くに紘人の顔があった。
Σ(・□・;)
璃子「な、なに??」
紘人「雅人に報告??あはは(笑)何にもしねーよ!!彼女に会いに行くだけだし(笑)」
璃子「それでも!!雅人さんに隠し事なんてできないので・・・・」
紘人「隠し事って・・・律儀だな(笑)」
バカにしたような含み笑いをする紘人に
璃子はちょっとだけ悔しいと思った。
なので、せっかく作った文章は送らず
スマホをバッグにしまった。
。
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