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雅人「ヒロはすごくいい奴だよ。」
雅人はまるで璃子が紘人を選ぶような口ぶりだった。
その言葉が璃子を傷つけるのをわかっていて
わざと言っているような気もする。
雅人「璃子ちゃん、俺かヒロか選んでくれないかな?」
璃子「え?」
雅人「もし、璃子ちゃんがヒロを選んだとしても・・・・・恨んだりしないよ(笑)」
雅人はいつも調子で璃子に笑いかける。
でもそんな顔も今では泣きそうに見えた。
璃子「雅人さん・・・・・」
雅人は璃子が2人の間で揺れているのを
わかっていたのかもしれない。
紘人は大事な双子の弟で
璃子は大切な彼女でその間で苦しんでいる雅人。
それは紘人も同じだった。
璃子「雅人さん!嫌です!!私、紘人さんは選べない!!」
雅人「それはダメ。ちゃんと紘人の気持ちにも向き合ってやって?」
璃子「どうして・・・・・どうして?私、雅人さんの彼女だよ??」
雅人「うん・・・・ひどいこと言ってるのはわかってる。ごめん・・・・・でも、このままヒロのことを無視して付き合うなんて俺にはできないんだ。大事な弟だから・・・・。」
璃子「雅人さん・・・・・ウウッ」
雅人「泣かないで?璃子ちゃんは本当に好きなのは誰か決めてくれたらいい。俺のことは気にしないで、ヒロを選んだっていいんだ。」
璃子「やだ・・・・やだよ・・・・」
雅人「じゃあ、今すぐ俺を選んでよ」
その瞬間、璃子の脳裏に紘人の顔が浮かんで
彼女はハッとした。
雅人「ほら、わかった??」
璃子「・・・・・・」
雅人「璃子には考える時間が必要なんだ。わかる?」
璃子は不本意ながらもコクンと頷く。
雅人「いい子だね。ちゃんと考えて答えを出してほしい。」
雅人は璃子の額にキスをして
まるで最後かのように璃子を抱きしめた。
雅人「俺は璃子のこと好きだよ。愛してる。だから璃子には幸せになってほしい・・・・俺を選んでもそうじゃなくても。」
璃子「ウウッ・・・・」
雅人「困らせてごめん。璃子・・・・」
璃子の心を映すかのように
外には雨が降り始めた。
。
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