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璃子「そうだったんですね・・・・・」
初めての出会いを紘人からきいて
璃子はなんとなくそういう事があったと
思い出すのがやっとだった。
璃子『そんなに前から・・・・・』
正直、紘人がそんな風に思ってくれていたなんて
夢にも思っていなかった。
そして、その思いが嬉しい。
紘人「あの時は嫌われるような真似して悪かった。璃子が覚えてなさそうだったから、つい意地悪言ってしまった。」
璃子「いえ・・・・私の方こそ・・・・・」
忘れていたことを申し訳なさそうにしている璃子を
紘人はじっと見つめた。
初めて自分から好きになった相手。
それが双子の兄の彼女であることが
紘人にもどうしたらいいのかわからない。
紘人「俺は・・・・・お前の事が好きだ。嘘じゃない。兄貴の邪魔をしたいわけじゃないんだよ。それだけはわかって。」
璃子「紘人さん・・・・・」
紘人「ごめん。ここで好きでもなんでもないって言えたらいいんだけど・・・・・。俺はそんなに強くない。」
璃子「・・・・・・」
璃子は強いとかそういう事ではないと思ったが
そこは何も言わずにいた。
紘人はきっと正直な人なんだろうと
彼の誠実な部分を守りたかったのかもしれない。
紘人「さっき言った通り兄貴のほうがいいよ。あいつは仕事もできるし、俺と違って優しいし。」
璃子「ふふっ・・・・・」
璃子の小さな笑い声を聞いて
紘人は驚いて彼女の顔を見た。
カン違いではなく、彼女はクスクスと笑っている。
紘人「なんで笑ってるんだよ・・・・」
璃子「いえ・・・・・。仲がいいんだなと思って(笑)」
紘人「はあ??やめろって・・・・。」
紘人が照れたような顔をしているので
かわいいと笑う璃子。
璃子「・・・・私、ちゃんと考えます。ちゃんと選びます。時間をいただけますか?」
璃子のまっすぐな瞳に紘人は安心した。
自分の言葉に簡単に流されるようなら
多少なりともがっかりしたはずだ。
紘人「待ってるよ。」
そう言って2人は別れた。
。
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